不動産を相続した場合に、すべての方に共通する相続手続きが、名義変更(相続登記)の手続です。
亡くなった方(被相続人)の名義になっている不動産を、その不動産を相続した相続人の名義に変更する手続きのことを相続登記と言います。
日本中にある不動産の情報は、すべて法務局に登録されています。どこにあってどれくらいの広さで誰が持っているかという情報です。相続によって不動産の所有者が変わると、この情報のうち「誰が持っている」という部分が変わりますので、この変更手続きをする必要があり、これを相続登記と言います。
相続登記は相続が発生した場合、終盤で行う手続きとなります。
下記に相続の流れを簡単に記載しておきます。相続発生→被相続人の財産一覧の把握→相続人同士で遺産分割協議→遺産分割協議書の作成→相続登記手続き
では、この相続登記の手続きについて解説していきます。
3-1.不動産の名義変更(相続登記)にかかる費用
- 登録免許税 ⇒ 相続登記する物件の固定資産税評価額の0.4%
- 提出書類(戸籍・住民票・証明書等)の取得費用実費 ⇒ 数千円程度
相続登記にかかる主な費用は、登録免許税と言われる税金です。
これは、相続登記をする不動産の価値により変動し、固定資産税評価額の0.4%と決まっています。
例えば、固定資産税評価額が3,000万円の物件であれば、3,000万円×0.4%=12万円ということになります。この固定資産税評価額については、毎年市区町村から送付される固定資産税の課税明細書(納税通知書)に記載されていますのでご確認下さい。
また、それ以外にかかる費用は、実際の申請時に必要となる戸籍謄本や住民票などの証明書類関係の取得費用の実費ですが、これは人によって異なりますが、合わせても数千円程度の費用となります。
さらに、この相続登記の手続自体を専門家(司法書士)に代行してもらう場合にはその報酬もかかってきます。物件の数や依頼する業務の範囲にもよりますが、ご自宅1か所のみでしたら、3~5万円程度の費用になります。
3-2.不動産の名義変更(相続登記)の必要書類
~法務局で取得するもの~
- 対象不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)~市区町村役場で取得するもの~
- 被相続人の住民票の除票(本籍の記載があるもの)
- 被相続人の死亡時から出生時までの戸籍謄本
- 相続人全員の現在の戸籍謄本
- 対象不動産を取得する相続人の住民票
- 対象不動産の固定資産評価証明書
- 相続人全員の印鑑証明書~自ら作成するもの~
- 遺産分割協議書
相続登記に関わる必要書類で主なものは上述の通りです。
なお、遺言書がありその遺言通りに相続登記を行う場合には、遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書は必要がありません。
これらの必要書類ですが、相続登記の手続を司法書士に代行してもらう場合には、印鑑証明書以外についてはすべて代行取得をしてもらうことが可能です。司法書士がすべて直接、職権で代理取得することが可能となっています。
3-3.相続登記は自分できるのか!?
相続登記の手続については、専門家である司法書士に代行を依頼される方がほとんどです。
その場合には、費用(3~5万円程度)はかかりますが、印鑑証明書を取得し、必要書類に署名・押印をするだけで手続きが完了しますので、手間はほとんどかかりません。 ただ、ご自身でやってできないことはありません。法務局や市区町村役場に何度か足を運べば窓口の方が教えてくださいますので、その指示に従えば手続きは可能です。
ただ、書類に記載ミス等があれば、提出後、後日呼び出しがあって再度訪問したり、添付書類に不備があれば、また再取得・再提出する必要があったりと、手間や時間がかかります。それらの手間と司法書士に依頼する場合の費用を天秤にかけて、ご自身でするか専門家に依頼するかを検討されるのが良いかと思います。
3-4.相続登記には期限等はないが、必ず行った方がよい
実は相続登記を行うことは義務ではなく、かつ、いつまでにやらなくてはいけないという期限もありません。
義務ではないので、相続登記をせず放置をしておいても、特に罰金等のペナルティはありません。
ただ、相続登記を行わないと下記のデメリット・リスクがあります。したがって相続登記は必ず行うことをお勧めします。
・不動産を売却したり、担保にして借金をすることができない
所有者が亡くなった人名義のままの状態では、その不動産を売却することができません。また、その不動産を担保にして借金をすることもできません。つまり、相続登記をしなければ、第三者に対して、その不動産が「自分のもの」と主張することができないということになります。
・他の相続人に勝手に不動産を売却される恐れがある
不動産の所有者がお亡くなりになった場合、遺産分割協議がまとまるまでは、その不動産は一時的に相続人全員の共有状態となります。この共有の状態でも、一人の相続人が持っている持ち分部分を第三者に売却することができてしまいます。通常であれば、共有状態の不動産を購入するということは購入者側の立場にたつと考えにくいですが、例えば他の相続人に嫌がらせをしてやろうといった気持ちで勝手に売却をしないとも限りません。
もしそうなってしまっても、即座に本来の所有者の所有権がなくなるというわけではありませんが、本来の所有者に名義を戻す手続きはかなり面倒な手続きになります。
・あとから相続登記をすることが困難になることがある
相続人の間で話がまとまっていて、あとは相続登記をするだけの状態になっていたとしても、相続登記をしない間にその相続人のうちの一人が亡くなってしまった場合には、その亡くなった相続人のさらにその相続人の協力が必要になってきてしまいます。
相続登記をせずに放置をしていると、協力を得なければいけない人数がこのようにどんどん増えていき、最終的には相続登記をすること自体がほぼ不可能になってしまうということは想像がつくと思います。
以上のように、相続登記をしないことによるデメリットは大きいため、特段の事情がない限りは、相続登記は遺産分割協議がまとまればできるだけ早めに済まされることをお勧めします。
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